【オリンパス M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II】通信エラーの修理方法

マイクロフォーサーズシステム規格の標準3倍ズームレンズである、オリンパス M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II。

とにかく小さくとても軽い、散歩やちょっとした外出で気軽にスナップ撮影するのにピッタリなレンズなんですが…

フレキ切れによって「レンズと通信できませんでした。」とか「レンズの状態を確認してください。」などのエラーが表示され一切撮影ができなくなるというという致命的持病があります。

この記事ではレンズを分解し、切れたフレキを交換する方法を解説します。

作業工程が多く難易度も高めですがやってやれないことはないです

用意する物

フレキケーブル

何本も通信エラーレンズを修理しましたが、すべてこのフレキの同じ部分で切れていたのであらかじめこのフレキを用意しても大丈夫でしょう。
2本セットで500円前後です。

はんだ

あまり温度を上げたくないうえに細かいハンダ付けが必要です。
出来れば温度設定とコテ先交換可能なはんだごてを用意しましょう。

コテ先は主にgootの3Kと1Cを使用しています。

また、少しでもコテ先温度を抑えるために共晶ハンダを使用しています。

その他

最低でも精密ドライバーと先細ピンセット、スポンジ両面テープが必要です。

作業工程

後から説明に必要な画像を追加撮影したので、レンズ本体のカラーがシルバーだったりブラックだったりしますが中身は同じ物ですので気にしない方向でお願いします。

分解手順

赤丸のネジ2本と青丸のネジ4本を外し、端子部のプラカバーを取り外す
赤丸の配線3本のハンダ、青丸のフレキ3カ所、黄丸のネジ2本を外し、基板を取り外す

基板と端子をつなぐフレキを切らないように注意!


赤丸のワッシャーが4カ所のネジ穴に2枚or1枚ずつあるので無くさないように!


フレキのコネクターは画像のように黒いラッチを上げてフレキを抜きます。

赤丸のネジ3本を外し、レンズを取り外す
赤丸のピン1本を外す

ピンは刺さっているだけなので、ニッパー等で引き抜けば簡単に外せます。
一番上のリングを取り外す

一番上のリングとズームリングを少し回すと、一番上のリングを外せます。
ズームリングを取り外す

ズームリングを望遠端まで回し上に引き抜くと外せます。
赤丸のピンを取り外す

ピンはネジ1本でとまっています。
赤丸のネジ3本を外す
ボディを上に引き抜く

ボディを外すと金属プレートと赤丸のワッシャーが2枚あるので無くさないように保管します。
レンズユニットを回して抜き取る
レンズユニットを回してハウジングから引き抜く
赤丸のネジを外しスライドセンサーを取り外す
レンズユニットをハウジングから引き抜く

フレキは両面テープで固定されています。
切らないように注意して慎重に引き抜きましょう。
レンズユニットを前玉と後玉に分離する

画像の左が前玉で右が後玉です。
前玉を後玉から真っ直ぐ引き抜くイメージで分離します。
前玉はいじらないので保管しておきましょう。
赤丸のネジ2本を外して、カバーを取り外す
赤丸の金属カバーを取り外す

スポンジ両面テープで止まっているだけなので簡単に剥がれます。
赤丸のバネを取り外す

バネの両端がフックに引っかかっているので、先細ピンセット等で変形させないよう慎重に取り外す。
小さいので紛失にも注意。


レンズユニットの位置を調整したいときは、モーターのシャフトを回す。

赤丸のバネを取り外す

こちらも両端がフックに引っかかっているだけ。
赤丸のピンを抜き、青線の部分でフレキを切断する

ピンは先ほど同様刺さっているだけなので、ニッパー等で引き抜く。
フレキの切断は作業をしやすくするためだけなので、適当な位置でカットすればオッケー。
赤丸のネジ2本を外してハウジングからレンズとモーターを取り外す


通信エラーの原因であるフレキ切れ箇所です。
どの通信エラーレンズもこの部分で亀裂が生じています。
これだけ同じ部分でフレキ切れが発生するのは、さすがに設計ミスと言えるでしょう。

ハウジングから赤枠の位置センサーを取り外す


位置センサーはゴム状接着剤でとまっているのでカッターで切れ目を入れ、裏から先細ピンセット等で軽く押して外しましょう。
位置センサーの接着剤跡はマイナスの精密ドライバー等で出来るだけキレイに取り除くこと。

モーターからフレキを外す
この修理の最難関で、修理の成否はこの工程にかかっています。
ハンダ吸い取り線や吸い取り機など色々試しましたがどれも失敗率が非常に高く、試行錯誤した結果この方法に落ち着きました。


まず、デザインナイフとニッパーを使って、赤線通りにフレキを切ります。
端子部分に負荷を掛けるとあっけなく壊れるので、端子に力が掛からないようハンダとハンダの間にデザインナイフを置いてほんの少しずつ切るイメージで慎重かつ確実に切り離します。
くれぐれもコイルの銅線を切らないように注意して下さい。


少しでも端子部分に負荷を掛けたり、デザインナイフを押し当てるたりするととこのように端子のベース部分が砕け散ります。
くれぐれも慎重に作業して下さい。


一端子だけハンダを溶かしつつその端子のフレキを上に軽く持ち上げるとフレキが取れます。
ここでもフレキに負荷を掛けないように注意!
なお、はんだごての温度は300~320℃に設定しています。


今回は上手く取れましたが、失敗して端子部分が取れてしまうことがあります。
その場合でも端子とモーターの銅線がつながっていれば、フレキに挿してハンダ付けすればリカバリーが可能。

フレキから位置センサーを外す

コテ先でフレキを押さえつつハンダを溶かし、ピンセットでセンサーを持ち上げると簡単に外せます。
新品フレキに位置センサーを取付

まず、フレキにフラックスを多めに塗って端子1つに予備ハンダをします。
次に位置センサーを予備ハンダをした部分だけハンダ付けし、位置決めをしてから他の端子をハンダ付け。
最後に予備ハンダをした端子を本ハンダ付けします。
位置センサーは緑の丸印が塗られているので、緑丸印があるほうをフレキに先端側にして取り付けます。
なお、動作確認の際、ジジジと音がするだけでピントが外れたままの場合は位置センサーのハンダ不良です。
フレキにモーターを取付

モーター端子の根元までしっかりフレキを差し込みます。
端子がブリッジしてしまうとリカバリーが大変面倒なので、慎重にハンダ付けしましょう。
1Cのコテ先がおすすめです。


ハンダ付けが終わったらテスターで隣の端子同士が導通していないこと、次に画像の赤線で結んだ端子同士が導通していることを確認します。

あとは逆順で組み立てるだけですが、いくつかコツがあるのでポイントを絞って説明します。
なお、レンズのチリや曇りをクリーニングしながら組み立てないと後でガッカリするのでくれぐれも忘れずに。

組み立てのポイント

使用している接着剤

位置センサーの固定に使用している接着剤です。
先細のノズルで狙ったところに塗りやすく、ガチガチに固まらず補修も容易なのに強度もあるのでおすすめです。

モーターとレンズの組み付け


モーターシャフトのプラ部品をレンズのシャフトに嵌めます。
この工程が終わった時点でフレキにあらかじめ付いている両面テープを忘れずに剥がしておきましょう。

金属カバーの取付


赤丸3カ所に1x2mmに切ったスポンジ両面テープを貼り付けて取り付けます。

ハウジングにフレキを固定する位置

スライドセンサーの取付


ハウジングにスライドセンサーを取り付ける際は、赤丸の突起が青丸の溝に嵌まるようにします。


前から見てこのように突起が納まっていればオッケーです。

レンズユニットとハウジングの組み立て


ハウジングの突起とスライドセンサーの位置を確認して差し込みます。


レンズユニットのすべての突起(6個)がハウジングの溝に嵌まるように。

前玉とレンズユニットの組み立て


まず、レンズユニットを回して最大までレンズを繰り出します。
次に前玉の切り欠き部内側にある突起(赤丸の位置)にレンズユニットの切り欠きから赤線の溝を通るように押し回しながら差し込みます。
コツはレンズユニットを押し込むテンションを緩めないこと。
緩めてしまうとレンズユニットがズレて途中で回らなくなります。

ズームリングの取付


ズームリングは赤丸のピンを画像の位置までスライドさせると差し込めます。

後書き

ネジや小さな部品が多数あるので、無くしたり分からなくならないように整理しましょう。

最後に身も蓋もない話ですが、どうしても自分で修理したいので無ければ修理するより動作確認済みの中古品を買う方が絶対おすすめw
それだけ、モーターとフレキの分離は失敗しやすいです。

どうしても自分でやりたい方は、くれぐれも分離だけは慎重に!

不明点がありましたら、分かる範囲でお答えしますのでお気軽にコメント下さい。

コメントを残す

カメラの関連記事