車中泊仕様キャラバンに設置したサブバッテリーシステムを解説

我が家は頻繁にベルテントでのおこもりキャンプをしていましたが、ヘルニアの悪化に伴い段々と車中泊の頻度が高くなりました。

おこもりキャンプでは1000Wクラスのポータブル電源使用していましたが、車中泊では調理にも電気を使うようになり容量が不足がち、いちいち持ち帰って充電するのが苦痛に。

そこで、200Ahのサブバッテリーシステムを組み、要所に100VやUSBコンセント、スイッチ等を設置することによってかなり使い勝手の良いサブバッテリーシステムになりましたので詳細に解説したいと思います。

サブバッテリーシステムの主な仕様

定格容量 200Ah
定格出力 AC 1800W
DC 合計25A
入力 走行充電 50A
外部充電 40A
  • 自宅駐車場が立体駐車場で車中泊時もそれほど必要性を感じていないためソーラーパネルは設置していません。
    バッテリーが50%なら2時間、0%でも4時間の走行充電で100%になりますし、外部充電なら雨天、夜間でも40Aで充電出来るので必要に応じて電源付きのRVパークやキャンプ場で充電しています。
  • 外部充電器の消費電力は700W

サブバッテリーシステムの詳細

メインシステム図

使用パーツ

パーツ選定の理由

LiTime(Ampere Time) 200Ah Plus リン酸鉄リチウムイオンバッテリー

KEBの使い方だと1泊で80Ah程度消費するので容量は200Ahに。

そして、電子レンジを使用したいので最大継続放電電流が200AのPlusを選択しました。

容量・充電不足のときは外部電源を活用しているので今のところ不足を感じたことはありませんが、将来車体に穴を開ける覚悟が出来たらDCエアコンを設置して400Ahにすると思います。

Renogy DCC 走行充電器12V 50A

200Ahのバッテリーを残量50%から2時間の走行で満充電にしてくれます。

観光を兼ねた車中泊では走行充電だけで連泊の電力を賄えています。

BAL ( 大橋産業 ) DC/AC正弦波インバーター 1800W 489

1350Wの電子レンジが動くインバーターで国産、リモコン付き、安価となればBAL一択でした。

実際、倍ほどするインバーターより若干変換効率が劣るくらいでほぼ誤差と言ってもいい程ですし、電子レンジの連続稼働も問題なく使えます。

ですが、BALの価格が高くなっているし、今買うならBALより高スペックなRENOGYの2000Wにするかな。

Yunyang リン酸鉄リチウムイオン用 14.2V 40A充電器

リン酸鉄リチウムイオンバッテリー用の外部充電器の充電出力電圧はほとんどが14.6Vです。

LiTimeのバッテリーは満充電が14.4Vなので、充電電圧が14.2Vのこの充電器ではパンパンの満充電には出来ません。

ですが、それでもあえてこの充電器を選んだのは極力バッテリーに優しい物にしたかったのと、ブラケット付きで設置がしやすそうだったからです。

Renogy バッテリーモニター RBM500

シャントタイプのバッテリーモニターでどんなバッテリーにも取り付け出来ます。

バッテリー残量がひと目で分かり、これさえあれば他のモニター類の必要性を感じません。

ただ設定がちょっと分かりづらいのですが、詳細な設定手順と設定値の解説記事がありますのでぜひ参考にして下さい。

サブバッテリーに接続するインバーター、照明、充電器などすべての機器のマイナス側電線を採集モジュール(シャント)のP-に接続する必要があります。

採集モジュールを経由していない機器が使用する電力は計測されないので注意しましょう。

Renogy BT-2 Bluetooth モジュール

Bluetoothでスマホと接続して専用アプリで充電情報を見られるようになります。

最初は車に乗る度に見ていましたが、RBM500を見れば一目瞭然なので今ではアプリを開くことすらなくなりました。

安いのでBT-2も付けて良いとは思いますが、メインはRMB500をお勧めします。

サブバッテリーシステム構築のノウハウ

走行充電器とIGN信号線の接続が必要

現行キャラバンはスマート発電機を使用しています。

そのためRenogyの走行充電器に付属している赤い配線でIG電源を引いてくる必要があります。

IG電源はグローブボックス裏のヒューズボックスにある「ELEC PARTS(IGN)」からエーモンの低背ヒューズ電源10Aで取り出すのが手っ取り早いです。

キャラバンのヒューズ差込口は左側の端子がバッテリー側なので、低背ヒューズ電源の配線が左側から出る向きで差し込みましょう。

走行充電器の各センサーについて

バッテリー温度センサー

リチウムバッテリーを使用している場合は接続しない。

バッテリー電圧センサー

Renogyのサポートにバッテリー電圧センサーはどのような時に接続するのか聞いてみました。

走行充電器とサブバッテリー間の距離が離れすぎて電圧差が生じる場合に、接続することによってバッテリー寿命を延ばすことが出来ます。

Renogy

走行充電器とサブバッテリー間が離れすぎている場合のみ接続すれば良いそうです。

KEBなら1m以上離れていたら接続を検討するかもですが、そもそも極力そんな設置は避けるべきでしょう。

車両バッテリー~走行充電器の配線について

  • マイナス配線はバッテリーターミナルではなく画像の位置に接続する
  • 車両B+~ヒューズ間は可能な限り短くする
  • 赤丸の2カ所に22SQを車内に通せるサービスホールが開いている。切断面が鋭利なのでコルゲートチューブ等で保護する
  • 車両バッテリーの格納部は水が浸入しない構造なので防水はしなくても大丈夫

配線はKIV電線の許容電流x0.8でサイズ(太さ)を決めて、その太さのネツタフ115を使う

なにやらまた訳の分からないことを言い出しましたw

エーモンの電線は車内での使用に特化した電線ですが、実はKIV電線ではどんなに安全マージンを取った使い方をしても車内用であるエーモン電線の基準に満たせません。

そこで、ネツタフ115という一般的なKIV電線よりも耐熱性に優れた絶縁体(被覆)使用し、大電流を流せる電線にあえて大電流を流さず使用します。

具体的には80A流れる電線ならば、KIV電線の22SQが許容電流115Aなので115Ax0.8=92A、よって22SQのネツタフ115を選定。

これだけでエーモン電線と同等の安全マージンを確保することが出来ます。

これなら太さが変わらないので取り回しも変わりませんし、ネツタフ115の価格は店によっても違うでしょうがKIV電線と変わらないので使わない理由がありません。

詳しくは電線やネツタフ115、端子、工具までまとめた記事をご覧下さい。

使用している電気製品を紹介

電子レンジ

東芝 単機能電子レンジ ER-SS17B(W)

車内で電子レンジを使用するなら単機能・フラットテーブル・ボタン操作の物がおすすめ。

Amazonの商品ページには「ワット数(W):900W」とだけ記載がありますが、それは最高出力で消費電力は1350Wです。

イレクターパイプで作った棚に置き、ラッシングで固定しています。

※商品リンクはKEBが使っている物の後継機です。

IHクッキングヒーター

dretec Piccolino

定番中の定番アイテムです。

鍋底の直径が16cmまでなので2人でも小さく感じるときが多々ありますが、これ以上大きすると今度は調理器具も含めた収納場所に困ってしまいます。

消費電力は1000W。

炊飯器

パナソニック 1.5合炊飯器 SR-MC03-W

1合を約20分で炊けて、消費電力は200Wです。

これはちょっと失敗したかなと思っていますが、致命的ではないのでそのまま使っています。

失敗したと思ってる点は2つ

  1. 2名での車中泊だと2合炊きたい時がある
  2. フタが鍋ぶたのように乗せるタイプなので車での保管がしにくい

次買うならこっちにするかな

ナカトミ スポットクーラー MAC-20

去年の真夏の日中ではすぐにコンプレッサーが停止して使い物にならず、就寝時以外は冷房が効いている建物にいるか観光をして過ごしました。

ところが、OZさんのブログにインバーターではなく外部電源から直接MAC-20につなぐとコンプレッサーが停止しないとの情報があるじゃないですか!

今年の夏は外部電源につないでのテストと、それと並行して日中インバーターにつないで稼働する方法を模索しようと思っています。

やっぱり、ちょっとした休憩時にクーラーを使えるのは快適でしょう。

電気毛布

電気毛布は風暖と同じく冬の車中泊の主力選手です。

10時間使用して300Wh、2枚なら600Wh。
200Ahのバッテリーなら23%程の使用量です。

ライフジョイのペラペラタイプもありますが、ブランケットとしても使えるモコモコタイプがお勧めです。

ポータブル冷凍冷蔵庫

ほとんどのポータブル冷凍冷蔵庫はAC/DCで稼働出来ますが、ポータブル冷凍冷蔵庫は必ずDCで稼働させましょう。
圧倒的に消費電力が少ないです。

KEBが使用している冷蔵庫の消費電力は、エコモードで40W、急速冷凍モードで60W。

17時に車中泊スポットに到着して、翌朝9時まで冷蔵庫の電源を入れっぱなしとかすると640Whの計算ですが、実際には昼頃から翌朝までバッテリー駆動しても20%=512Whくらいしか減りません。
冷蔵庫によっても違うでしょうが、庫内の温度が下がればさほど電気を使わないようです。

冷蔵庫は頻繁に開け閉めするので、サイズと設置場所、フタの開く方向、消費電力をよく考えて選びましょう。

AC(交流)のコンセントについて

ACコンセントはセカンドテーブル、電子レンジ専用、ベッド横の左右、計4カ所に設置していますが、使用しているインバーターにはAC出力が3口しかありません。

そこで、サブバッテリーボックス内に2口コンセントを配置し、左右のベッド横コンセントに分配、残りを電子レンジとセカンドシートのコンセントにしています。

ベッド横のコンセントは電気毛布専用と言っても差し支えないので二股でも問題ないでしょう(2名で電気毛布を使いやすいように左右にコンセントを配置しました)。

電源タップを作る際の注意点と材料

サブバッテリーシステムを構築しようという方に電源タップの作り方を書いても仕方が無いので、注意点と探す手間を省くために使用した部材だけ書きます。

  • 使用する電線は導体2.0mm2の平形ビニルコードにしましょう。
    導体の太さによる許容電流は2.0→15A、1.25→12Aなので、1.25だと1200Wまでしか使えません。
  • パナソニック製プラグの指定圧着端子はR2-3.5です。

オーム電機 DIYタップ 集中スイッチ付き 3個口 HS-TM3SWX3-W

セカンドシート用に1個使用。

パナソニック(Panasonic) ベター小型コードコネクタボディW/P WH4615P

電子レンジの他に外部充電器の延長コードも含めると2個使用。

パナソニック(Panasonic) ダブルコンセント/P WK1021WP

サブバッテリーボックス内、ベッド横左右の3個と外部電源引き込み線でも使用したので合計4個。

パナソニック(Panasonic) スナップキャップ ホワイト/P WH4021WP

外部充電器の延長コードも含めると6個使用。

エルパ(ELPA) 平型ビニールコード 300V/15A 6m ホワイト VFF-206H(W)

KEBの場合、2個(12m)使用しました。

ニチフ 裸圧着端子 R形 20個入 R2-3.5-20P

20個入りを2セット使いました。

DC(直流)の配線とスイッチ等について

サブバッテリーシステムには、照明、USBコンセント、冷蔵庫などを各所に固定して配置しておけるというメリットがあります。

まあ、ポタ電でも出来ない事はないですが、あまり実用的ではないというか明らかにサブバのほうが向いています。

自分の使い方にあわせてちょうど良い位置にコンセントやスイッチを配置して快適空間を作るのは、キャラバンを車中泊仕様カスタムの醍醐味だと思います。

メインSW

すべてのDC機器の主電源。緊急時や車を預ける時以外は常時オン。
これでLEDライトのスイッチのみ通電します。

後から付け足したので配置バランスが悪いですw

サブSW

車中泊やセカンドシートでくつろぐ時はこのスイッチをオン!
ベッド脇の電源パネルやUSBコンセント、冷蔵庫などの生活必需品に通電します。

カズクリエイションの間仕切りカーテンマウントに装着しました(画像左のトグルスイッチ)。

LEDライトSW

天井に後付けで設置してあるLEDライトの制御スイッチです。(上の画像右のトグルスイッチ)

天井LEDライトは日常でも頻繁に使うのでサブSWとは別の独立したスイッチで制御しています。

天井のライトは3路スイッチがおすすめ

使い勝手を良くするためにセカンドシートとベッド脇の2カ所に3路スイッチを配置し、どちらのスイッチでも点灯、消灯出来るようにしています。

3路スイッチとは、階段の1階のスイッチで照明を点けて、2階のスイッチで消すアレ。
ON-ONスイッチ2つで実現できます。

KEBは就寝時にLEDライトのリモコンを2つ持ってベッドに移動していましたが、3路スイッチにしてからはスイッチパチン→消灯で予想以上に快適になりました。

なお、似たようなスイッチにON-OFF-ONスイッチがありこれでも3路スイッチは可能ですが、中立ポジションがあるので若干操作性は落ちます。
今からパーツを揃えるならON-ONスイッチを用意しましょう。

注意

スイッチ類は必ず使用可能電流内で使用し、使用可能電流を超える場合はリレーを併用しましょう。
また、電源側には必ず適切なヒューズを入れましょう。

外部電源の引き込み

連泊の途中であまり走行出来なくてバッテリーがピンチだったり、真夏にスポットクーラーを使いたかったり、そんな時にとても心強いのが外部電源。

キャラバンはとてもナイスな位置にサービスホールがあるので、車体に穴を開けずに外部電源を引き込むことが出来ます。

下の記事で詳しく書いているので参考にして下さい。